釧路町昆布森海岸から釧路寄りに20分ほど歩くと、城山海岸があり、約3800万年前の古第三紀に堆積した数枚の地層が重なって岩石海岸を構成しています。昆布森から城山海岸に向かって、地層は西にゆるく傾いており、昆布森に近い方が古い時代に形成された地層になっています。昆布森側から、薄い石炭層が見られる雄別層、多くのシジミ化石が見られる双運層、「ハチの巣岩」と呼ばれる風食岩がある舌辛層の順に見られます。
雄別層は昭和45年に閉山した阿寒町の雄別炭鉱で採掘していた地層で、砂岩と泥岩とが交互に重なる地層が見られ、地層の間には薄い石炭をはさんでいます。砂岩と泥岩の境には時々波状の模様があり、現在の砂浜にも見られる模様と同じで、さざ波の描いたものです。地層に残されているものは漣痕と呼ばれる波の化石です。
双運層は黒い泥岩で構成された、数枚の石炭層をはさむ地層です。二枚貝のシジミの化石がたくさん見られますが、現在のシジミと少し異なり、シタカラシジミとトクダイシジミの2種類が見られます。
舌辛層は砂岩や泥岩で構成されていますが、岩質から下部、中部、上部の3層に区分けされています。上部層は浸食のため削られて釧路市付近では見られませんが、下部層は昆布森などに露われています。昆布森で見られる「ハチの巣岩」は、均質の粒でできている砂岩が、強い風により海岸の砂を吹き付け、長い年月をかけ岩を削り取った風食作用でできた地形で、海に面した垂直に立つ海崖の岩肌一面に丸くくぼんだ穴がハチの巣状の模様が刻まれています。高さ20mに及ぶこの風食岩は日本でも珍しい一大景観です。
(解説:釧路市立博物館) |