イトウ(魚類)
 イトウはサケの仲間で、体長が1mを超す日本最大の淡水魚です。釧路湿原では現在、ごく稀に魚影を見るにすぎませんが、釧路川をはじめ、コッタロ川、 久著呂川くちょろがわ雪裡川せつりがわ幌呂川ほろろがわ仁々志別川ににしべつがわなど、湿原をゆるやかに流れる河川の中・下流部に生息しています。また、塘路湖とうろこやシラルトロ沼などの湖沼にも住んでいます。
 イトウは成長に応じて食性がかわります。体長が15cmくらいまではトビケラ類やカワゲラ類などの水生昆虫を餌としますが、これより大きくなると水生昆虫のほかに魚も食べるようになります。体長が30cm以上になると、スナヤツメ、フクドジョウ、イバラトミヨやエゾトミヨのトゲウオ類など、魚のみを食べます。さらに大物になると、胃袋からネズミの死がいが出てくることからわかるように、ネズミあるいはカエルやヘビなども捕食するようです。
 最近は、釧路湿原での釣りだよりが聞かれなくなりました。河川環境の悪化や過剰な釣りにより、湿原のイトウは絶滅の危機に直面しています。
(解説:釧路市立博物館)